EPISODE 1 ある日「そろそろバンドでもしないと老け込むなぁ…」というテンションになった俺(ヒロヒデ)はインターネットのバンド検索ページを眺めていた…。 「まずはともかくVoを探さなければということで…、しかし最近椎名林檎とかELLEGARDENとかが多いなぁ」 ― 完全プロ志向。ひやかし・初心者・常識のない人不可。腐った日本の音楽シーンをぶっ潰しましょう。 「熱すぎだよ… 次」 ― ビートルズのコピーしているポールです。リンゴ募集中。 「なんでビートルズをやっている人はこういう募集をするのかなぁ?若いおねーちゃんとか椎名林檎と間違えて応募してこないのかな?… 次っ!」 − 高音域・シャウトには自信があります。まずはストリートから。 「ストリートでシャウトしたら捕まるぞ… 次っっ!」 ― 明るく楽しいバンドがやりたいです。好きなアーティストは尾崎豊。 「尾崎豊という時点で明るくねぇだろっ… 次っっっ!」 ― テクよりセンス、理論よりフィーリング、見た目より人間性重視です。(16歳・男) 「言ってる内容の割りには若っ… 次っっっっ!」 ― J-POPが好きです。好きなアーティストはT-BOLAN。 「古っ … 次っっっっっ!」 ― 混沌の中の恍惚、暗黒の中の光明。現世と未来をつなぐ旋律を探しています。 「何が言いたいのかまったく分からん… 次っっっっっ!」 ― 酩酊の中の疾走、退廃の中の覚醒。夢とうつつをつなぐメロディーを探しています。 「こいつ絶対一個前のと同じヤツだろ!! 次っっっっ!」 ― UKの雰囲気を好みますがあまりこだわりませんので条件のあう方と楽しく活動できればと考えております。 「うん、まぁこんな感じだろ…。」 と、やっとまともな投稿を見つけた俺はさっそくメールを送ることにしたのであった。 その数日後、投稿者のすみやんとロイヤルホストで待ち合わせをし、お互い手探り状態で話をした結果、(俺1人だけ飯を食べて申し訳ないなぁ…)と思いながらも一度スタジオに入ってみようかということになった。 「では、2人でスタジオっていうのも間がもたないと思うので、暇そうなベースとドラムに適当に声かけてみます」ということで、適当に知り合いに声をかけて当日スタジオに行ってみると、なんとベーシストが2人もいたのであった!! 「しまった…、適当に声かけすぎたかっ」と思いつつも平静を装いながら音合わせをして、なんとなくこれからよろしくねってな雰囲気になり、なんとなくベーシストも1人に決定してバンド結成という運びになったのであった。 この様に綿密な計算の元、運命に惹かれるように集まった「すみやん、ヒロヒデ、てつろー、ミツオおやじ」の4人によるDelicious Helsinkiが結成されたのだ。 EPISODE 2 運命に惹かれるように集まった「すみやん、ヒロヒデ、てつろー、ミツオおやじ」の4人は、「自分たちのペースでゆっくりやろうな」とか、「たまにはライブもやろうな」とお互いこのバンドに賭ける熱い想いをぶつけあっていた頃、昔からのバンド友達の甘えん坊で食いしん坊なラブリーエンジェルズ「キョカンレンズ」の二人から「今年も彦祭りやるでよ〜」という話を聞いたのであった。 祭りと言えば「東映まんが祭り」から「PRIDE 男祭り」まで、祭りに目がない俺たち4人がこの話を聞き逃すはずはなく、「参加しますっ!!いえっ参加させてください!!」と早速参加の意思を表明したのであった。 …しかし、その時点で曲は1曲もなく、バンド名も決まっていなかった…。 その後バンド名は映画「かもめ食堂」(出演:小林聡美・もたいまさこ・片桐はいり、ヘルシンキでおにぎりをメインにした食堂を中心とした人間模様を描いた映画。ゆるい度 120%、片桐はいりの顔がこわい…)に深い感銘を受けて「Delicious Helsinki」と名付け(完全後づけ、信用するなよ)、ノルマを背負ったサラリーマンのように「来週までに1人1曲作ってくること!!」と言いながら曲作りを始めたのであった。 そんな感じで曲もポツポツ出来つつある頃、「彦祭りVol.4」のタイムテーブルが手元に届いた。 「まぁ、俺たちは初ライブだしオープニングあたりでチョロっと演って、後はライブを楽しもうぜい」と気楽に構えていた俺たちが見たものは7バンド中、4番目に書かれた「Delicious Helsinki」の文字だった!! 「なんだこの異例の大抜擢はっ!! 俺たちは期待されている!! むしろキョカンレンズの二人に惚れられているのかも?!」と慌てふためいてしまった。(後日「彦祭りに出る7バンド中、5バンドは初ライブもしくはライブ2回目なんだよね〜」とあっさりミユキ嬢に言われた) そして彦祭り当日。午前中に眠い目をこすりながらスタジオに入り、「なんとかなるかなぁ〜?うん、多分なんとかなるよね。」とメンバー同士テンションを高めながらライブハウス「エレバテイ」に乗り込んだのであった…。 彦祭りVol.4 ラインナップ(出演順) ・CANDY☆WOLF ・キタマクラ ・悶絶 ・Delicious Helsinki ・KEEN ・Peace Maker ・Hi-co36 うん、自分たちのライブも楽しめたし、イベント自体もとても楽しかったです。 またぜひ来年もやりたいです。「彦祭り」!!!! 愛してます「彦祭り」!!!! この様にして「Delicious Helsinki」の歴史は幕を開け、大いなる航海へと漕ぎ出したのであった。 EPISODE 3 運命に惹かれるように集まった「すみやん、ヒロヒデ、テツロー、みつおパパン(一部メンバー名前が微妙に変わっているのには触れない方向で)」の4人は、クリスマスが近い年末の週末の夜にホテル関西近くのラブホテルや風俗店が並ぶとある雑居ビルの1室に集まっていた… 「まずはやっぱり、みつおパパンからお先に…」 「こんなの初めてじゃないんだから、ど〜んといっちゃいましょうよ!!」 「ワシ、実はあんまりこういうの得意じゃないんよ…」 「大丈夫!! 気に入らなかったら次のにすればいいから」 「あ〜、久々だから緊張するなぁ。一気に最後までイキたいなぁ〜?」 … … …そんな感じでドラム録りから始まった俺たち「Delicious Helsinki」ファースト・アルバムのレコーディング。 当初バンド結成時にやっつけ仕事的に1ステージをこなす曲を作ってしまい、後から「どうも細かいところが微妙にズレているような…。でも俺は間違ってないはずだ…」とメンバー全員が内心思っており、それならいっそ録音でもして微妙なズレを修正しようではないかっ?!ってな感じで始まったレコーディング。 そして季節は静かに冬から春へと変わり、桜の花も散り終わった5月… 桜は散れどもまだ録音は終わらない… 暇を見つけてはスタジオに入ってちまちまと音源を録り貯めていったのだが… 大体一昨日の晩御飯のメニューどころか、隣の部屋に入って「あれ?俺は今ここに何しに来たんだっけ??」と30秒前のことさえ忘れてしまうという実年齢以上に脳年齢が退化しているメンバーが半年間の録音内容をいちいち覚えているはずも無く、毎回スタジオに入ったとたん 「あれ?今日はどこから録音するんだっけ?」 とか 「あれ?あの曲はもう終わったっけ??」 …と、録音状況を思い出すだけでも一苦労。 そんな苦労に苦労をかさねたファースト・アルバムの音源が完成したのが6月のライブのほぼ一週間前。 しかし、脳年齢には及ばなくも実年齢を重ねたメンバーはここからが違う。 大人のコネとささいな権力を駆使し、 ・ジャケットデザインを知り合いに頼み… ・ジャケット印刷を業者に格安で発注し… ・ケースを入れる袋をサンプルとしてタダで取り寄せ… ・ライブ前日にメンバー全員で袋詰め!! そんな手作りの温もりを大切にしたファーストアルバム「GEAR LIFE」!! そんな名前の曲は入ってないぜ「GEAR LIFE」!! ジャケットのデザインを見てその場で決めたぜ「GEAR LIFE」!! これでイカしたあの娘も思わずブギウギ「GEAR LIFE」!!!(←実年齢を感じるフレーズ) 現在ライブ会場にて1枚300円で絶賛発売中です!! この様にして「Delicious Helsinki」の歴史に新たな1ページが加えられ、更なる冒険へとメンバーは旅立つのであった…